南幌町ゴルフ場計画についてver.1
-作成:1997.3.3 江別きれいな風の会-
はじめに
3月1日の北海道新聞でも報道されましたように、南幌町のゴルフ場計画が再 浮上しています。
江別市は、水道水源を千歳川と漁川に頼っています。江別市は、千歳川の最 下流で水道水を取水しています。ですから、上流で取水する場合に比べると、 水質に負荷をかけるものを多く持つことになります。この千歳川から取水する 上江別浄水場の水道水中のトリハロメタンの値が全国でワースト2であったとい う報道が、1994年の4月29日の北海道新聞で報道されたことを、覚えていらっ しゃる方も多いと思います。江別市によりますと、このトリハロメタン発生の 主な原因は、泥炭地に由来するフミン質で、それが塩素と反応してトリハロメ タンが発生するということでした。江別市では、トリハロメタンの低減化や水 質の安全性向上のために、高度浄水処理施設を設置しました。千歳川の上流に は、千歳市、恵庭市、北広島市の終末処理場があります。さらに、21ヶ所のゴ ルフ場が千歳川に、直接又は支流等を経由して、排水を流しています。これに 加えて、計画中のものが6ヶ所あります。その内の一つが、今回の南幌町のゴル フ場です。私たちは、安全な水を飲みたいと思っています。これは誰でも同じ だと思います。高度浄水処理施設で浄化するのも一つの方法ですが、それと同 時に原水(ここでは千歳川)への負荷を増やさない、できれば減らしていくと いうことも大切ではないでしょうか。この負荷を増やさないということから、 今回のゴルフ場の計画は認められないと思うのです。
江別市民の飲料水に関わることであるにも関わらず、このことについて、私 たちが知ることのできる情報は、ごく限られた物にしかすぎません。また、こ のことに対して、意見を言う機会もほとんどありません。これは、少しおかし いのではないかと思います。私たちにもこのことについて、もっと知る権利と 意見を言う権利があるのではないでしょうか。そこで、江別きれいな風の会が 知り得た情報を皆さんにお知らせしようと考えました。考える材料の一つにし ていただけたらと思います。
南幌町のゴルフ場計画の経過
1990年(平成2年)、南幌町の総合開発計画の一つとして、南幌温泉の隣接地 に、ゴルフ場、コンドミニアム(1.高級分譲マンション 2.所有権と利用権を 分け、所有者が余剰の利用権で収益を得る方式の分譲別荘・マンション:イミ ダスより)、公園、温泉を4本柱とするリゾート地を作る計画が策定され、議会 の承認を得ています。この計画の経営母体はミサワリゾート(株)でした。こ の企業は、予定地の地権者と覚え書きを交わして準備を進めました。この覚え 書きに際しては、南幌町も間に入っています。1995年(平成7年)の7月に道の 事前協議が行われています。ところが、経済情勢の悪化で、事前協議の決定の あと、ミサワリゾートが撤退を表明し、計画はとん挫していました。南幌町 は、計画を実行するため、後継企業を探すなどしましたが、なかなかうまくい かなかったようです。地権者は、この計画があるので、それに沿って生活設計 を立てたので、今更計画がうまくいかなくなっては大変困ることになります。 南幌町は、企業と地権者との覚え書き締結に当たって、間に入っている関係か ら、地権者に対しての責任があります。また、町が策定した計画であるという こともあって、第3セクターによる開発を進めることにして、昨年12月の定例町 議会でその考えを表明しました。この議会での主なやりとりは、質問議員の名 前入りで、南幌町議会だよりで町民に知らされました。計画の4本柱は変わらな いものの、事業費は当初見込みの3分の1強の約27億円にすることにしていまし た。詳しいことについては、町民に特別広報を配布し知らせるとともに、3月の 議会にかけるということが、12月の議会だよりに書かれていました。その後、 第3セクターに参加する企業を探していたそうですが、本州の企業が「単独でや る」ことを申し出たため、民間でやる計画が再浮上したということです。企業 は、株主総会の決議をまだ経ていないため、名前は明らかにはなっていませ ん。また、第3セクターでやる場合には、町も出資することから、議会の承認が 必要ですが、民間企業が単独でやるとなると、すでに了解されていることなの で、議論は必要ないことのようです。
江別市の対応
江別市は、岡市長の時代から、この計画に対しては、助役を窓口として対応 し、1990年(平成2年)から一貫してゴルフ場は容認できないという態度をとっ てきています。また、第3セクターでの計画に対しては、参加企業が見つからな いだろうとの考えを持っていたようです。(実際、2月26日に、浄水場長さんに 電話でお話を聞いた時には、そういうお答えでした。)その後、民間企業主体 での計画の再浮上が明らかになったようですので、江別市がどう対応するかは まだわかりません。3月1日の北海道新聞の報道によりますと、水道事業管理者 の鎌田さんは、「市民感情からいっても容認できない」とおっしゃっているよ うです。けれども、1993年(平成5年)の広島町(当時)の砂利採取跡地のゴル フ場計画に対しては、「好ましくない、認めるわけにはいかない。」との姿勢 で対処してきたけれども、「許可権限を有する知事が事前協議において決定を した以上は、いつまでも認められないと言っている訳にも」いかないので、 「最終的に要綱に基づく水源保全に関する協定を締結せざるを得ない」とし て、「日本一厳しいと言われる内容の」協定を結んでいます。その際、江別市 は、道に対しては、「1.道は、千歳川水系の水質保全及び水質監視について、 取り組みを強化していただきたい。2.既設のゴルフ場に係る農薬流出防止策及 び排水水質の監視を強化していただきたい。3.千歳川流域市町村を含めた道機 関を中心とする連絡協議会を設置していただきたい。」という3つの事項につい て積極的に取り組むことを強く要望」しています。今回も、結局はゴルフ場を 認めて、協定を結ぶという同じ結果になることも考えられます。
水道事業管理者の鎌田さんに直接お話をお伺いしましたところ、今回の民間 企業の話については道新の記者から取材を受けて初めて知ったそうで、南幌町 からの話は来ていないそうです。昨年の6月の道の水源保全部会のOKの答申のあ との7月に南幌町から協定に向けての話し合いをしたいとの話があったそうです が、そのあと何もなかったので、計画がうまくいっていないと思っていたとい うことでした。
北海道のゴルフ場開発を規制する要綱について
北海道は、ゴルフ場開発を規制する要綱を制定し、この要綱は平成2年11月15 日から施行されています。要綱では、3ヶ所以上ゴルフ場を有している市町村、 ゴルフ場面積が1%以上を占める市町村については、当分の間開発を認めないと されています。ところが、この要綱の施行前に、既にそれを上回っていたとこ ろや、かけ込みで計画を申請したところがあります。また、地域の振興、若し くは発展に著しく寄与し、かつ、地域の自然及び生活環境を損なわないとして 市町村長が認める開発事業は、その限りではないという例外規定があり、先の 広島町の例は、これに当たります。さらに、それぞれの市町村に対する開発規 制はあるものの、流域全体の総量規制はありません。ですから、この千歳川流 域に、21ヶ所のゴルフ場があり、さらに6ヶ所の計画があるのです。
要綱に基づいて、道は関係する課が全部集まって事前協議をし、それぞれの 関係する指導基準についてチェックするそうです。南幌町のゴルフ場について は、1995年(平成7年)7月18日に、この事前協議が終了しています。その結 果、開発者側はそれぞれ関係する法律に基づいて、それぞれ該当する課に許認 可を申請することになります。そして、その期限は、事前協議から2年以内と なっており、南幌町のゴルフ場は、今年(1997年)の7月が期限となるのです。
事前協議の後、要綱には、水源上流のゴルフ場は、水源調査保全報告書を提 出し、それに基づいて水源保全部会が審議し、道に答申を出すことになってい ます。ところが、南幌町のゴルフ場の場合は、完全無農薬で実施するという報 告書だったので、無農薬についての規定が要綱にはないことから、水源保全部 会には、審議ではなく報告という形になったそうです。ただし、委員の中か ら、本当に無農薬でやれるのかという意見が出たので、道としては、「1.稼働 時に、農薬を使用していないかチェックする。2.農薬を使用する(していた) 場合には、周辺への影響についての調査報告書を道に提出させ、審議を経させ る。使用していた場合は、それが施設外に出ないよう指導する。」ということ で部会の了解を得たそうです。
要綱で言う農薬とは?
先程も述べましたとおり、要綱では、農薬を使用する場合の規定はあるが、 無農薬については規定はないそうです。ここで言う農薬とは、殺虫剤・殺菌 剤・除草剤のことだそうです。化学農薬を使わなくても、ゴルフ場では土壌改 良剤、地盤凝固剤、着色剤、界面活性剤、化学肥料、施設排水その他による汚 染が深刻であると聞くということを、道の環境整備課に尋ねましたが、地盤凝 固剤は住宅やビルなどの建物を建てる場合に使用され、それが雨で川に流れ出 たということは聞いたことがあるが、ゴルフ場で使われているかどうかはわか らないと言うことでした。無農薬の方法については、水源保全調査報告書に記 載されているそうですが、これには、企業のノウハウに関わる秘密が含まれる ので非公開ということでした。といいながらも、雪腐れ病の対策について尋ね たところ、雪腐れ病に強い芝を使うということや、無農薬なので虫が発生しや すいが、それに対しては、トラップ(誘引剤を入れた容器に虫を誘い込み、出 られないようにする)を利用するということは教えてくださいました。なお、 この雪腐れ病にかかると、芝があちこち枯れてしまって、パターがうまく行か ないので、ゴルファーにいやがられており、北海道での農薬使用の中で一番多 いのが、この予防のための殺菌剤だそうです。
農薬について、どうチェックするかを、これも環境整備課に尋ねましたが、 無農薬であるということが事前の報告書と合致しているかどうかについて、保 管庫に農薬がないかどうかと、散布機の中身をチェックするということでし た。抜き打ちにやるのですか?と尋ねたところ、道に立ち入り権限があるわけ ではないので、あくまでもチェックをさせてもらうようお願いしていく、とい うことでした。
江別市で、南幌町の方が来た時に、本当に無農薬でできるのか?と聞いたそ うです。その時には、「グリーンを2面用意し、交互に使用すること」や、「公 式試合が行われるような高級なゴルフ場ではなくパブリック(=庶民)向けの低 料金のゴルフ場なので、ゴルファーも多少草が生えていても平気だろう」か ら、やっていけるという話だったそうです。なお、南幌町には、河川敷にもゴ ルフ場があり、初心者やパブリックによく利用されているそうです。
なお、南幌町の水道水の取水口は位置的には、ゴルフ場の下流に位置するそ うですが、ゴルフ場の排水は、迂回して取水口の下流に流すことで、水道水に は直接影響がいかないようにする計画だという話も聞いています。
疑問、意見、願い
ゴルフ場の農薬を問題にすると、「農業に使用される農薬の方がずっと多 い。そちらは、問題にしないのか。」というようなことをよく言われます。も ちろん、農業に使われる農薬もできるだけ控えてほしいというのが私たちの願 いです。けれども、食糧生産のためのものと、ここでなくてもできるレジャー のためのものとは、性格が違うのではないかと思うのです。また、このゴルフ 場は、完全無農薬であるから大丈夫だとも言われています。ゴルフ場を完全無 農薬でやる場合、非常にコストのかかる物になると聞いています。営利企業で ある民間企業が、どこまでそれをやれるのか、疑問に思いますし、そのことに ついて尋ねようにも、企業名は明らかにされていないので、尋ねることもでき ません。また、千歳川の流域にこれ以上、ゴルフ場が果たして必要なのでしょ うか?また、無農薬ならゴルフ場を新しくどこに作ってもいいのでしょうか?
この場所は、現在は水田ですので、保水能力もあります。ゴルフ場は、水は けをよくすることが大切と聞きますから、ゴルフ場が作られると、保水能力 は、現在よりも低下する事になるのではないでしょうか?千歳川放水路の計画 は、千歳川の治水対策として出てきたものだと理解していますが、保水能力の 低下が千歳川に与える影響は、無視できる程度の物なのでしょうか?
読んでくださった皆様に
私たちの願いは、千歳川にこれ以上の負荷をかけたくない、今ある負荷も減 らしていきたい、ということです。黙っていると、計画を認めていると扱われ ます。けれども、知らないことには、何も言えません。また、私たちの得た情 報も十分な物とは言えませんし、間違っている部分もあるかもしれません。い ろいろな人が、お互いの考え方や意見を出し合うことで、よりよい道が見つか るのではないかと思っています。知っていらっしゃること、ご意見がありまし たら、次の所までお知らせください。なお、その際は、その発言を他の方にも お知らせすることをご了解ください。匿名をお望みの方はその旨お知らせくだ さい。
南幌町議会は、3月11日から始まり、それに先だって議会運営委員会が6日に 開かれます。何らかの形で、議会で、私たちの願いを考慮に入れた議論をして もらいたいと、手を尽くしています。
(文責:岡崎)
連絡先: 江別市文京台南町56-3 岡崎 朱実
Tel & Fax : 011 (387) 1104