野鳥撮影事始め  2022,3,15 キムドン

2021年の春、74歳にて52年間(小38年、幼14年)続けた教職生活に終止符を打った。
 子ども達の成長を見守る仕事は、やり甲斐のある仕事であったが神経をすり減らす毎日でもあった。
 退職の年はコロナ渦に見舞われ身も心も消耗し、胃にポリープが5つもできる激務の1年であった。
 まさに弓折れ矢尽きる寸前であった。まだ、気力と体力が幾分残っているうちに退職することにした。
 退職後、しばらくは何も仕事がない状況に気持ちが落ち着かず、ふわふわした日々を過ごしていた。
 52年間の勤務で形成された体内時計が動き続け、すぐには自由人の生活リズムに移行できなかった。
 日が経つにつれ現職時の鎧を脱ぎ捨てた解放感を実感でき、自由な時間を楽しむことができるようになった。
 しかし、コロナ渦のため旅行もできず、もっぱら身辺整理に励んでいた。
 5月の連休中もコロナ自粛を継続、我が家の小さな庭で畑仕事に汗を流していた。
 土いじりの最中、元気の良いスズメのさえずりを聞き、スズメのエサ場のバードテーブルの設置を思い立った。
 バードテーブルを設置すると思いがけなく、スズメ、キジバト、カワラヒワ、シジュウカラ、ヒヨドリなどの野鳥がやってきて驚いた。
 毎日、バードテーブルでエサを啄む鳥たちを見ているうち野鳥観察が新たな趣味になり、鳥達の棲み家である近くの野幌森林公園に
 度々出かけるようになった。
 8月の末頃からは、望遠カメラを片手に森林公園の散策を行うことが日常となった。森林公園では、たくさんの野鳥に出会った。
 森林公園で初めて撮影した野鳥はゴジュウカラだった。
 その後、連続してキバシリ、アカゲラ、ヤマガラの姿を写真に収める事ができた。
 気をよくして、いよいよ森林公園での探鳥と野鳥の撮影に嵌まっていった。
 森林公園には、足繁く毎日のように通っているが、いつも野鳥に出会うとは限らない。
 声はすれども姿は見えずの日が多く、野鳥に出会うのは全く偶然と言ってよい。それだけに野鳥に出会った時の感動は大きい。
 希少な野鳥のクマゲラに遭遇した時は嬉しくて夢中で何枚もシャッターを切った。
 シマエナガの場合は、2時間も森の中を歩き廻り、疲れ果てて一休みしようと立ち止待って見上げた木の梢に留まっていた。
 いつか出会いたいと願っていたシマエナガだったので 疲れが一気に吹き飛んだ。
 春日八郎が「別れの一本杉」で♪山のカケスが鳴いている~♪)と歌っていたカケスに生まれて初めて出会った時もうれしかった。
 2021年の8月から始めた野鳥の観察と写真撮影。2022年3月までの8ケ月間でおよそ40種類の野鳥に出会った。
 野鳥だけでなくエゾリスやキタキツネにも出会う事も多く、彼らの姿もしっかりカメラに収めている。
 これまで秋、冬に出会った野鳥の写真を撮ってきたが、これから春、夏の写真を撮ろうと、新たな野鳥との出会いを楽しみにしている。
 撮影した写真は私のホームページに掲載するとともに全国2万人の愛鳥家が登録している「Zooピッカー」(野鳥写真投稿サイト)に
 投稿している。写真を投稿すると直ちに何件ものFINEの反応があり、大きな励みになっている。
 森林公園での野鳥探索ではあちこちを歩き回きまわるので、足腰がとても鍛えられる。
 また、森林公園の四季折々の草花を目にして、自然の豊かさや季節の移ろいを感じることが出来る。
 後期高齢者になり始めた趣味であるが本当に良い楽しみを見つけたと思う。
 人生の終末はもう少し先と思っているので、「探鳥」と「野鳥撮影」を継続して、健康な毎日を過ごしていこうと思う。
 とりあえず80歳までの5年間で100種以上の野鳥に出会い、鳥博士(?)を目指したい。