肉質(腱)&骨格構成と距離適正!




現在は、長距離指向の方の殉難のときと考えています。原因は幾つか云われていますがレース時の外的要因を上げられる方が多いように思います。確かにハトにとって飛びづらい環境に成っているようですがどうもそれだけではなさそうです。
ここで、私的仮説ですがお話ししたいと思います。
<系統(血統)につては、勿論適正の有るものと考えて下さい!>

<筋肉について>
私が、長距離指向の方に長距離鳩は何が大切なのですか?と聞くとだいたいの方は「頭が良いこと」&「肉質が良いこと」と云われます。
確かに頭は良くなければ帰ってきません。700kだって頭が良くなければ帰ってきません。300kだってそうです。こう云うと「肉質が一番」で有ると皆さん云います。では、どの様な肉質が長距離に向くのでしょう!
たいていの方は、「肉が軟らかい事!」を一番に上げます。本当に肉は柔らかい方が良いのでしょうか?私は必ずしもそうは思いません。
柔らかい筋肉それは、通常「白筋」が多くを占める筋肉であるからです。白筋は解剖学的に云えば「速筋」と呼ばれ瞬発力のある短時間で疲労する筋肉なのです。
私は、筋肉的には私たちが考えているより遙かに硬くても良いのではないかと考えています。もっと「赤筋」=(遅筋)の多い同一運動に適した筋肉組織を有した方がかえって有利では無いかと考えます。 <同一筋肉でも、疲労の違いはおこる> 運動は、筋肉が骨を動かし成り立っていることは皆さんご存じです。そして、筋肉から骨への動力伝達の間に「腱」が存在することも知られていると思います。
(以下は「腱」の剛&軟における動作的な特徴のみを述べます)
腱が全く伸びない構造を持っていると筋肉の動きが速度的に遅れなく100%で骨に伝達されます。早い筋肉の収縮が早い骨の動き(運動)につながります。しかし、大変疲労(筋肉)する運動で有ります。
では「腱」が大変柔らかく少しの力でも伸びるならば筋肉がどんなに動いても骨は動きません(運動自体が出来ない)。しかし、筋肉疲労は殆ど有りません。

同じ筋肉の動作でも「腱」の特質によって運動と筋肉疲労が大きく異なるのです。
10年前は、鳩にスピードを付けることがレースマンの課題で有ったと思います。上記の考えで行きますと白筋の多い腱の硬い鳩を作る努力をしていたのです。
20年前の鳩は、筋肉が硬く回復力は無かったが「腱」の非常に柔らかい鳩が多かったと思います。筋肉の堅さを「腱」の柔らかさでカバーしていたのだと思います。瞬発力は無いが一定運動に適した筋肉と柔らかい腱は長距離にもってこいです。しかし、しかしこれはスピードが出ない典型の組み合わせです!
現在の鳩は、本当にスピードが出るように成りました。何を改造してそうなったのでしょうか?私は筋肉の改造も有るでしょうが「腱」の改造がそれを実現したのだと思っています。
腱を硬く太くしたことがスピードを産んでいるのだとと思っています。しかし、筋肉疲労と云う観点からみると状況は極めて悪化しています。長距離が外的要因で帰りずらくなった現在「肉質」を長距離向け(小疲労筋肉)に改良しても、「腱」の改良(柔軟=柔らかさ)を行わなくてはどうにも成らないのです。
鳩がどんなに帰ろうとしても体が動かないのです!
<肉と骨格>
皆さんは、肉と骨格(骨)の剛性を考えたことが有りますか?
鳩が、空を飛ぶとき空気の抵抗を大きく受けていることは皆さん解っていますが、それが鳩にとって大きな疲労に成っていることは実感していないようです。
日本のレースマンは、「ベルギーやオランダの用に平坦な所をマイペースで飛ばないのが日本のレースだ!」と云われます。だから、帰りが悪いと云うのです。
「山有り谷有り」の何が鳩の帰りを妨げているのでしょう。
・方向判定が難しく成るから!
・山を越えるのに体力が必要だから!

など本当の事であって間違っていないと私も思います。しかし、これらは主たる原因では無いと私は判断しています。「山有り谷有り」で帰りの悪い本当の理由は、体の「軋み=歪み」から来る疲労なのです。<下に記述>
鳩のスピードに「軽さ」が関係する事は、皆さん知っています。ここ10年で鳩はずいぶん軽く成ったと思います。骨格を細くして軽い肉(白筋)を多くしてなしえた産物です!
この鳩の軽さは確かに長距離にも適するものです。軽いものを遠くに運ぶ時と重いものと運ぶときでは使用エネルギー量が違います。勿論、軽い方が小エネルギーで済みます。
しかし、行きすぎてはいけません。ここは、ベルギーやオランダでは無いのですから!
「軽い鳩は風の影響を受けやすい。」と云うと皆さんは進路から風によって流されるからと思っていませんか?確かに風にながされますが、影響としては直線を飛べなくなるので帰還が遅くなるだけです。
帰還出来るか出来ないかには大きく影響しないのです。では何が帰還できなくなる主原因でしょう?
それは、体の「軋みと歪みを生じての」の運動が原因です。体が多きく歪んでいる状態での運動はある一点に力が生じ一カ所だけが大きく疲労するのです。その疲労を起こさせまいとして他の箇所が運動の変化で補いを行いますが通常運動に比べ大きくエネルギーを必要とします。
しかも、その歪みが一定ではない場合疲労はその何倍にも成るのです。「山有り谷有り」では、気流の変化が激しく一定方向からの風圧だけを受けるとは考えられません。
時間と共に複数の圧力を体に受け複数の形状での歪みのなかでの運動を余儀なくされると思います。
しれが、鳩を飛べなくする原因です!。何百kを飛んで動かなくなるかが鍵なのです!
<同一条件でも、疲労が異なる>
それは、鳩の肉体的剛性によって歪みが異なることが原因です!鳩の肉体的剛性は、骨格(骨量)と肉(筋肉)の堅さにより得られるもので個々の鳩によってバラバラです。
剛性だけを考えると太い骨格で強い(硬い)筋肉の鳩が良いのですが、どうしても重たい鳩に成ってしまいます。
*昔の鳩はこのタイプであったと記憶しています!*
現在の鳩は、上記でも云ったように筋肉(腱を含め)を改造し成り立っています。筋肉に対するさらなる機能の追加は至難の業と考えています。
だから、長距離を帰る鳩が大変少なく成っているのです。
しかし、軽いけれど疲労の少ない筋肉でさらに剛性の強い鳩も居ます。が作出が大変難しのが現状です。
私は、鳩友と「肉の勝った鳩」とか「骨格の勝った鳩」とか云う表現をします。これは、肉質(肉量)で剛性を出している鳩か、骨格(骨量)で剛性を出している鳩を表す言葉です。
現在長距離を帰ってきている鳩を見ると必ずと言っていいほどどちらかで剛性を出しています。分速1、200m以上では肉質で剛性を持たせた鳩が多く、900m以下では骨格で剛性を持たせた鳩が多いと感じています。(あくまでも感じで6:4程の差と考えて下さい)

この項つづく
<現在、私が考える長距離鳩への改良箇所!>
1)肉質は、白筋中心であってもの赤筋も織り交ぜる。
2)腱は、太さを残すが柔らかくする。→ 現状からの改良はやや難しい。
3)骨格の勝った鳩を作出する。→ 現状からの改良はやや難しい。
*現状からの作出がやや難しいのは改良要素を正しく持った鳩が少ない為*
その他の部分(羽質&形状・ボディバランス&長さ)は、一般論に何も云う事はなく私もその通りであると考えています。また、今になって学生時代に飼っていた長距離特徴を有していた鳩が必要に成るとは思っても見ませんでした。ビクターロビンソン系&ノーマンサウスエル系には、現在の改良要素を正しく持った鳩が多かったと記憶しています。

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